空は澄み切った青一色に染められている。
国の中心地にある大きな建物の一室にかつての英雄は横たわっていた。
多くの人が英雄が眠るベッドを囲むように立っている。一様に沈痛な面持ちだった。
部屋の一角、そこに魔術師は現れた。突如現れた男に警戒してか、次々と剣を抜く音がする。一気に場は緊張し、殺気だつ。その場を沈めたのは眠っていた筈の英雄だった。
「…こ、の…男は…わ…の、友人…じゃ…」
息荒く英雄は周りの者を制止する。英雄の顔は青白く辛そうに眉が顰められ、額からは次々と汗が噴出していた。
英雄を囲む人々から声がでるより先に魔術師が英雄の額に指先を押し当てた。
荒かった息が規則正しい呼吸になり、顔には血色は戻る。英雄は目を細めて、魔術師を見た。